健太の告白

こんにちは。
恋に悩めるOL、みなみです。

涼真の二股が分かって、一旦別れて、それでもやり直すって決めてから５ヶ月ちょっと経ちました。
正直に言うとまだモヤモヤする日が多いんだよね。
浮気について思い出さない日はないし、そんな毎日にも少し疲れてきちゃった…。

涼真と今後も付き合っていきたい…と思うほどに人に相談するのも憚られるし。

そんなモヤモヤした気持ちを抱えていた私の心にこの前、するっと入ってきた男の子がいたんです。

＊＊＊＊＊＊＊

人も少なくなった夜のオフィス。
仕事も終わって片付けに入っていた。

「みなみせーんぱい♡」
「健太！」

後輩の健太が話しかけてきた。
(※私が一時ときめいていた健太だが、あの後彼女ができていて、現在は定期的に恋バナをする仲になっている）

「最近どうですか〜？」
「健太こそ」
「先輩、なんか悩みありますよね？ここ最近、元気ないときありますよ？」

健太は本当によく気がつく。

「ん〜…」

私の隣の席に腰をおろして“長話モード”に入った健太。
最初はかわしていたものの、健太の粘りに根負けしてついに話してしまった。

「彼氏の浮気のあとさ、ずっとモヤモヤしてて。このまま付き合ってていいのかなって」
「俺はもっと先輩を大事にしてくれる人と付き合った方いいと思いますけどね。今の態度はどうなんです？」
「悔い改めてる。多分。」
「え、じゃあ許していいんじゃないですか？？」
「え？！健太なら許す？」
「めーーーっちゃ嫌だけど、悔い改めてるなら許します」
「えー？！」
「だって今は先輩のこと大事にしてるんですよね？」
「うん。それは伝わってくる」
「じゃあいいじゃないですか」
「えー…」

思いのほかあっさり「許していいのでは？」という答えを提案してきた健太に拍子抜けした。健太の性格上「絶対無理です。俺なら別れます」って言うと思ったから。

「えーっとですね。たぶん、浮気してるときってバレないだろって思ってるんですよ。マジで。
でもそれで先輩にバレて…実際に別れを突きつけられて、失って…自分ほんとに何してんだろって思ったと思うんですよ。本気で失いたくないなって気づいたはずです。めっちゃ後悔してると思いますよ？もうしないと思います」
「…すごい！健太めっちゃ正確！！そうだと思う！！よく分かるね！！」

健太が語る「涼真の思い」は私にすんなりと入ってきた。

「でもねー。モヤモヤするんだよ。結婚も考えなきゃいけない年なのに１年半も付き合っちゃってさ。このままでいいのかなって」
「もうしないのかなーとかさ」

なおもグダグダと答えのでない愚痴を健太に浴びせる。
自分でも、もう何に悩んでるのか分からなかった。
夜のオフィスには、もう、誰もいない。

「う〜ん…じゃあ、絶対秘密ですよ？」

声のトーンを落として、健太が話し始めた。

「僕も一回だけ浮気したんです」

「えぇ？！？！？！？！」

それは私にとって、すごく意外な告白だった。
健太は本当に彼女のことが大好きで大好きで大好きで。絶対浮気なんてしないんだろうなって思って、いつも惚気話を聞いてたから。

「結果として彼女にはバレてないんで、本当に秘密でお願いしますよ」

健太の彼女と私は知り合いだ。
バレるリスクを背負ってまで励ましてくれたことが嬉しかった。

「分かった。絶対言わない」

「そもそも何で浮気しちゃったの？」
「好奇心。本当にただそれだけ。でも終わったあとマジで最悪な気分になりました。そんな一時の好奇心で、本当に大事なもん失うなんて、偏差値マイナス３って感じだなって」