落ちるときはいつも突然

最近好きな人ができたんです。

後輩の健太くん♡
でもね、けっこう年下なんだよね。7歳下。

うーーーん。
でも好きになっちゃったんだよね。
好きにさせられたっていうか。


私が恋に落ちたきっかけ、聞いてくれる?


健太は今年になって同じ部署になった。
まさに今時の子って感じで顔が小さくて目が大きい、かわいい後輩。
帰る方向が一緒だから、良く一緒に帰ろうって誘ってくれるのが、これもまたかわいい。

後輩にそう思う日がくるとは。
あ~ぁ、あたしも年とっちゃったかなぁ。

例によって、その日も残業してる私に健太が声をかけてくれた。

「みなみ先輩一緒帰りましょー!」
「いいよ。もうちょっとで終わるから待っててくれる?」
「もちろんでーす」

ほんとは“ちょっと” じゃなくて “そこそこ” 仕事が残ってたんだけど…とりあえずキリのよいところまで急いで片付ける。

ん?なんで私急いでるんだろ。
先に帰ってもらえばいいのに。

…いまから思えば、あのときの私はもう健太に恋をしていて、あとはきっかけ待ちだったのかも。
なんのきっかけかって?
恋に落ちるきっかけ。

だいぶ遅い時間まで残業していたせいで、健太と落ち合った廊下は電気が消されていた。
薄暗い廊下にドキドキしちゃったから、冗談めかしてごまかした。

「おまたせしました健太先輩♡」

なんて茶化して、ごまかしたはずなのに。
健太はくりっとした目をまっすぐ私に向けて言った。

「おつかれ、きょうもがんばったね」

…ねぇ。
突然のタメ口はずるいよ?

さも「普段からタメ口の関係ですが?」と言わんばかりに、サラッと使われたタメ口。
私、あなたより結構年上よ?先輩よ?そしてここは職場だよ?
年の差があるがゆえに、より強力に効いてしまった”タメ口の魔法”。

まぁ、私はいとも簡単に。
この一言で恋に落ちちゃったんです。

え?こんなので?って思うかな。
思うよね(笑)
でも恋に落ちるときってそんなものじゃない?

落ちるときはなんて突然。
みなみの恋の物語。
落ちた先には何があるの?

 


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