最後通牒

「結婚について、きちんと話そう」

そう言われた当日の別れ際。涼真から話し合いの候補日を提案されていた。
「じゃあ1週間後の○日で。俺、ちょっと予定見えないから分かったら連絡するね」
「大丈夫だよ。予定空けておくね」

しかし。それから1週間、涼真から予定の連絡はもちろん、日々のLINEも1つもなかった。私も連絡をしなかった。私との関係をどうするつもりか見極めたかった。

約束当日。まだLINEは来ない。

どうするつもりなんだろう。

少し苛立ちながら待っていると、夕方ようやく涼真からのLINEが届いた。

「連絡遅くなった。ごめん、きょう会えなくなっちゃった。来週でどうかな?仕事終わりだからだいぶ遅くなるけど」

・・・またか。
裏切られたような気持ちが私を襲う。涼真に対してあと何度こういう気持ちになればいいんだろう。
私はそのLINEに返事を返さなかった。

“涼真が煮え切らなかったらこうしよう”と決めていたことがあった。

それは、涼真に別れを告げること。

涼真は結婚についてはぐらかし続けているが、ある程度真剣に考えていると予想していた。
優しく、真綿で首を締めるように誘導していけば…結婚に持っていける手応えがあった。

でも、その先は?

涼真が「絶対みなみと結婚したい」って思っての結婚じゃない限り、この状態が続くのだろう。

ほんのり不満で、いつも何かを我慢する。
そんな未来はまっぴらだった。

もう一度スマホが震える。

「きょう会えなくてごめんなさい」

涼真からの追撃LINEだった。

もう遅いよ。私は、この数日かけて用意していた文章をLINEに貼り付けた。
送った後に後悔しないように。
何度も文章を書いては消して。消しては書いて。やっと書き上げた文章だった。

意を決して、送信ボタンを押す。

「ごめんね。疲れてしまいました。
涼真は結婚するとか一緒に住むとか色々言ってくれたけど、行動には移してくれないんだなーって。
私は人の本音って言葉より行動が全てだと思うから。
涼真のこと、すごく好きだったけど、私は「絶対みなみと結婚したい」って望まれて結婚する人生を選びたいので、ここで終わりにしましょう。
涼真のタイミングを待てなくてごめんね。今までありがとう」

LINEには、すぐに既読がついた。

「もう一回話し合おう。それももう無理??」

軽い調子の涼真に、また失望する。ここまで言われても、涼真はまだどうにかなると思っているようだった。

しかし、ここまでは想定内。

次の文章も作ってあった。

・・・でも。

これを送ったら、本当にもう引き返せない。
そう思うと、送るのが躊躇われた。

後悔しない・・・?

“あの時、我慢して付き合ってたら結婚できたのかな”って。

ここまで何百回も繰り返した問いかけを、最後にもう一度自分に投げかける。

・・・

大丈夫、後悔しない。

楽しかった。
結婚したかった。

だけど…このままだったら、私が望む未来は手に入らない。
私は自分で未来を掴みにいく。
自分の望む未来を作っていく。

一つ、深呼吸して送信ボタンを押した。


「ごめんね、話し合いはもうできないよ。

これまで沢山話し合いはしてきたじゃない。
でも、一緒に住むとか結婚するとか、そこで決まったこと、何も実現されてないじゃない。
また話し合っても同じことの繰り返しだよ。期待して待つのも、もう疲れちゃった。
行動で示してくれるなら会います。
でもそうじゃないなら、私は他の人を探します。
“絶対みなみがいい”って言ってくれる人。
それが涼真ならよかったんだけど…涼真が決意できないなら仕方ないなって思います。

さよなら。今までありがとう!」

涼真からの既読はついた。
さて、どうでる?

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