さよなら。“今度“はもうないよ

一緒に住もうって提案があってから1ヶ月。週に1度か2度、デートを重ねていたにも関わらず、その後涼真からは具体的な話は1つもなかった。

それが涼真の答えなんだ。

“全ての約束が具体的にならない“
それが私を苦しめていた。

涼真は口先ばかり。

私はそんな結論に達していた。

*****

ある日のデートの帰り、涼真を送って帰る最中に質問を投げかけた。

「涼真はさ、結婚っていつくらいに考えてる?
 私はできれば今年中にしたいなって思うんだけど」

最後通牒のつもりだった。
これで具体的な話が出ないなら、もう別れよう。

「そうだな〜」

私は涼真の答えを待った。

「…俺、転職しようかなって考えてるんだよね」
「海外もいいと思う」

私は自分の心が急速に冷めていくのを感じた。

「転職するときはみなみに言わなきゃって思ってるよ」だの「俺が転職したら、みなみはどうする?」だの。

将来を匂わせる発言はするけど、結婚のことは絶対に具体的にはしない。
涼真が話を逸らしたがっているのは明らかだった。

「そっか、じゃあ涼真はいまは転職って感じか。頑張ってね」
「…まぁ、それはそれで別の話なんだけどさ」
「そうだね^^」

嫌味に聞こえないように、最大限の注意を払ってそう伝えた。
浮気した相手に、結婚結婚とすがる女には絶対になりたくなかった。
そのあとも、最近の仕事の話とか、面白かった映画についての話とか。関係のない話ばかり。

「着いたよ。じゃあ、明日仕事頑張ってね」

家の前についても、涼真は車から降りようとしなかった。

「年内・・・くらいかな」
「もう一回だけ、時間をちょうだい。そこできちんと話そう」

一見、誠実そうに聞こえる涼真の言葉も、もう私の心には響かなかった。
ごめんね、もう無理だよ。

「結婚しよう」
「プロポーズする」
「一緒に住もう」

涼真は、この1年間いろんなことを言ってくれたけど、実際に行動してくれたのは、親に会わせてくれただけ。

“人の本音は言葉じゃなくて行動をみろ“

っていうじゃない?

今後に及んで「話し合おう」って一体何を?
よりを戻したときも、この前喧嘩をした後も、散々話し合ってきたじゃない。

そこで決めたこと、何も実現されてないじゃない?

これ以上「話し合い」で、中途半端に希望を持たされて、失望するのは耐えられないよ。

「分かった。じゃあ、また今度ね」
「また連絡するよ」

そういうと涼真はマンションのエントランスに消えていった。

さよなら。
“今度“は、もうないよ。

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